「1人あたり付加価値」は1,300万円超を目指すべき!中小企業だからこそ

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経営指標は感覚でおさえている、という人でも付加価値くらいは正確に把握しておきましょう。

付加価値は2種類あります。

「考え方としての付加価値=本当の付加価値」と、
「経営指標としての付加価値=お金の付加価値」

これは前回説明したとおりです。計算の仕方などは前回の記事で確認してください。

会社経営において、「本当の付加価値」という考え方はそのまま使えますが、
「経営指標としての付加価値=お金の付加価値」については、付加価値を従業員数で割った指標、「1人当たり付加価値」が重要です、ここまでがセットです。

1人当たり付加価値の計算式
※従業員数は、正社員を1人としてカウント

中小企業こそ、1人当たり付加価値は1300万円超を目指すべき、というのが私の意見です。
今回はそれについて書いていきます。

財務指標の1人あたり付加価値がなぜ重要なのか

付加価値は世の中に生み出したお金の価値です。
たとえば、付加価値の総量が1億円の会社が2つあるとします。

付加価値

外観は全く同じですね。

付加価値は、自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ)で世の中へ生み出したお金の価値ですから、他社と同じ付加価値ということはあるでしょう。

次にこの2社の1人当たりの付加価値を見てみます。

1人当たり付加価値

外観は全く同じでも、10人で1億円なのか、20人で1億円なのかで話は全く違います。
つまり付加価値総額は1人当たりまで見ないと、実際にビジネスとしてうまくいっているのか、効率的なのかはわかりません。

1人当たりの付加価値が大きくなければ、高い給与は払えません、家賃も払えません。維持費も払えません。もちろん利益はでません。

1人当たり付加価値を言い換えると、「1人平均でどれだけ世の中に貨幣価値を生み出したか?」「1人平均でどれだけ稼いでいるか?」ということです。

自分1人でどれだけ稼いだか、という指標ではありません。

組織は1人で戦っているわけではありませんね。裏側でフォローしている人もいれば、そのバックアップを受けて前線で稼ぐ人もいます、マーケティング戦略、財務戦略、人事戦略など全体をコントロールする人もいます。

つまり、チーム全員でどれだけ稼いだか?それを人数で割るといくらか?という指標です。

だから本当は、1人当たり付加価値はチーム全員で共有すべき指標です。

※全員で共有する場合に使う付加価値の計算式は、前回説明したところの控除方式です。
加算方式の付加価値は従業員にはコントロールできない要素が多すぎるのでマネジメント層用です。

というように、1人当たりの付加価値、は重要です。

労働分配率について

会社が生み出した付加価値は、給与原資でもありますから、各人の給与に直結します。
よく聞く「労働分配率」とは付加価値の何%を人件費として払っているか、という指標です。

労働分配率の計算式

会社には、人件費以外にも設備投資、留保、家賃、維持費など様々な費用がかかりますね。
そのため労働分配率は50~60%が限度と言われることが多いです。
ただし業種やステージ、戦略や規模によってもひらきはあります。

限度が50~60%ですから、それより低い会社の方が多いです。

労働分配率が50%で推移している会社が、1人あたり平均で500万円の給与を払うためには、付加価値が最低でもいくら必要かすぐにわかりますね。

ただし人件費の積み上げから付加価値を逆算して、事業計画を立てることはおススメしないですが。

1人当たり付加価値はいくらを目指すべきか

中小企業の1人当たり付加価値は700万~900万前後がボリュームゾーン。
大企業の1人当たり付加価値は1000万~1300万がボリュームゾーンですが、1,500万円を大きく超える企業も多くあります。もちろん中小企業でも1,000万円を大きく超える企業もたくさんあります。

まずは大企業のボリュームゾーンのトップ1,300万円を超えることを目標とする、というのが私の意見です。
中小企業の場合、規模が小さいので、付加価値総量も小さいです。大企業と同じ1人当たり付加価値だとしても、付加価値総量が圧倒的に少ないので、いつまでたっても安定・成長しないんです。

付加価値総量の少ない中小企業だからこそ、大企業を超えるくらいの1人当たり付加価値を出すべきです。規模の小さい企業ほど実現可能です。

1人当たり付加価値で大企業を超える理由

中小企業が、大企業を超える1人当たり付加価値を生み出せる根拠はこのグラフです。

会社規模と収益性の関係

業種や戦略などによっても違いはありますが、会社規模と収益性は一般的にはこのようなV字カーブになります。戦略を持たずに中途半端な規模まで拡大するのが一番儲かりません。

もちろん規模と比例して収益性を上げていく会社もあります、ただしそのような会社は規模だけを考えているわけではありません、収益性のために規模を、という戦略があります。

会社規模が小さいと無駄が発生しにくいです。また、チームの一体感も維持しやすく収益性が高くなりやすいです。そのため、大企業の1人当たり付加価値を超えることが可能です。
ただしその状態が長期的に持続するかどうかはまた別の話です。

会社規模が小さいステージで、1人当たり付加価値が中小企業の平均値並みだとしたら何か問題があるはずです。戦略的にそうしている企業でない限り。

1人当たり付加価値計算式

計算式から考えるなら、売上が低いのか、外部コストが高いのか?効率が悪いのか?
それとも付加価値総額は適正であるが、従業員数が多いのか?

当たり前の話ですが、当たり前のことを徹底してやる会社が成長する会社です。

まとめ

付加価値は1人当たり付加価値までがセットです。
1人当たり付加価値は、大企業の1,300万円を超えることを目標とすべき、そうでなければ成長・安定はない。

規模が小さい中小企業は、自動的に付加価値総量も小さくなるので、1人当たり付加価値を最大化しなければ、投資も留保もできません。

特に、起業して間もない純資産が薄い時期などは、%などの指標も大事ですが、まずは額(絶対値)を意識した方がいい。中長期的な視点を持ちながらも、現預金、売上げ、利益、1人当たり付加価値、などの絶対値を最優先に考えるべきです。

成長を目指すなら、意味のない節税などしている場合ではない、ということは言うまでもありません。

ABOUTこの記事をかいた人

1982年生まれ、千葉県出身。大学卒業後、外資系税理士法人・財務コンサルティング会社などで10年間勤務の後、独立。現在は中小企業の税務顧問などをしながら、スタートアップのCFO、創業100年企業の財務戦略を支援したりと税理士業以外での活動フィールドを拡大中。好きな言葉:一寸先は光。
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