税込経理は幻です!スタートアップの消費税の注意点

成長のカギ

売上を消費税込みで考えていた社長が、事業開始3年目あたりで強烈な税負担感に驚く、
そんな事にならないようにしましょう。
数字を正確に把握している社長の場合は何も心配ありませんが。。

消費税にも補助金がある

補助金といっても『○○補助金』、といった制度ではないんですが、法人でも個人でも事業をしている場合、消費税の優遇制度があります。
正しくは、納税義務の免除とか免税事業者とか言われてるやつです。

消費税分の補助金がもらえるケース

ざっくり2パターンあります(創業向け or 零細向け)
ちなみにもらえる金額は、売上先から預かった消費税額です。

1、創業間もない会社向け

資本金が1000万円未満の場合、最初の2期に限って、お客さんから預かった消費税を国に納める必要がありません。自分たちがもらえます。

2、零細事業者向け

あと売上が毎年1000万円に届かない会社も、消費税を納める必要がありません。

これによって事業を始めたばかりで資金力の弱い会社などが優遇されています。
考え方によっては、消費税の補助金ですよね?創業間もない会社、零細事業者向けの。

消費税優遇を受けた会社の具体例

例えばこんな会社。(わかりやすく、消費税率は10%としておきます)

  • 税抜売上1500万、お客さんから預かった消費税150万⇒税込売上1650万
  • 人件費1400万(税金以外のコストは人件費のみ)
  • 創業3期目から消費税を納める義務あり
  • 1期目と3期目の内容は全く同じ

という超シンプルな会社があったとします。
こんな会社の売上を消費税込みで考えていると下のようになります。

創業1期目(優遇あり) 創業3期目(優遇なし)
①売上 1650万(税込売上) 1650万(税込売上)
②人件費 1400万 1400万
消費税支払 0 150万
◆利益(①-②-③) 250万 100万

創業1期目と3期目は全く同じ内容ですが、消費税の優遇(補助金)があるかないかでこんなに変わります、利益も半分以下です。
このように消費税込みで考えていると、何かうまくいっているぽいな?という認識でも、消費税の優遇が終わっていきなり慌てることになります。

これはさすがに気づくでしょ?と思う人多いと思いますが、実際はもっと他にも数字が並んでいるので、決算書、試算表も消費税込みで作られている場合、結構はまる気がします。

消費税の優遇分(補助金)をきちんと分けて管理する

消費税の優遇がない状態で戦える体質にならないといけないので、優遇されている創業期から消費税抜きで考えておく必要があります。
消費税の優遇分は『補助金』である、くらいの位置づけで認識しておきます。
そうすると数字のまとめ方も下のように変わります。

創業1期目(優遇あり) 創業3期目(優遇なし)
①売上 1500万(税抜売上) 1500万(税抜売上)
②人件費 1400万 1400万
◆利益(①-②) 100万 100万
補助金(消費税優遇) 150万 0
利益+補助金 250万 100万

先ほどの表と比べるとだいぶ違いますよね。創業1期目から、シビアに実態を抑えています。
こういう考え方の会社は、打ち手も早いのでどんどん良くなっていきます。

数字のまとめ方の違いで差がつく

2つの表の違い、これ実は『税込経理』・『税抜経理』、と言われる経理方法(数字のまとめ方)の違いです。『消費税込』か『消費税抜』ってことです。
消費税込みで数字をまとめる『税込経理』が良くない、という事ではありませんが、会社の実態を正確に表す数字でないことは確かです。なので、まとめた数字に対して、詳しい人の説明やフォローが必要ですね。

資金力の弱い創業間もない時期だからこそ、こういった財務的なフォローをしっかり受けたほうがいいと思いますよ。

もし自分の会社が消費税込みで決算書、試算表を作っている場合は、一度よ~く見てみましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

1982年生まれ、千葉県出身。大学卒業後、外資系税理士法人・財務コンサルティング会社などで10年間勤務の後、独立。現在は中小企業の税務顧問などをしながら、スタートアップのCFO、創業100年企業の財務戦略を支援したりと税理士業以外での活動フィールドを拡大中。好きな言葉:一寸先は光。
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