税務調査の恐怖を煽る税理士さん、もうやめませんか?

税務調査を恐がる人

インターネットで『税務調査』などと検索すると、恐怖を煽るページがたくさん出てきます。

世の中すべての税務調査が怖いという『恐怖神話』を作ったのは誰でしょうか?
何でもない会社にまで必要以上に恐怖を煽るのは誰でしょうか?

税務調査の恐怖神話の作り方

世の中すべての税務調査が怖いという『恐怖神話』はこうやって作られました。

【手順1】
国税庁が悪質な大型脱税事件や、脱税でなくても大型追徴税額が発生した案件などインパクトのあるニュースを意図的に流す。
【手順2】
経営者や事業者がニュースを受信する。「何千万とか払うのか、怖いな~、やっぱり脱税したりするとガッツリいかれるんだな~」と情報を受信する。
【手順3】
税理士やその周辺で商売をしている信用力の高い人が、税務調査は恐いものだ、という裏付けをする。なんなら恐怖を煽って商売にする。普通の税務調査は恐くないと知っていても

これで、非の打ち所がない『完全な恐怖神話』の出来上がります。
こんな感じです。

「いや、悪いことしたらたくさん税金払うんでしょ、恐いじゃん」と思う人もいるかもしれません。

でも、それはハイリスクハイリターンというセオリーの結果です。
脱税でハイリターンを目指した結果、それが見つかって罰金やら何やらでたくさんの税金を払う、という話です。
別に国税庁が恐いからそうなってる訳じゃありません。そもそも脱税はいけません。

「税金無駄遣いしてるじゃん」という気持ちは私もありますが、その話は今回は混ぜないで考えてみてください。

あと、話がそれちゃいますが、この本はおすすめです。

普通の税務調査は恐くありません!

国税は悪い事したらガッツリ行きますよ、とニュースで流します。
もしくは税法が追いついてない最新の取引、組織再編や海外絡みなど税法があいまいな部分について、国税のスタンスを示す意味で流します。

先日最高裁での敗訴が確定してニュースになったヤフーの案件も、組織再編です。

というように、脱税をしているわけでもなく、税法の抜け穴を攻めてるわけでもなく、組織再編や海外絡みの取引を大きくしている訳でもない、中小企業の普通の法人には、ほとんど関係ないニュースなんです。

税務調査は2種類ある

① 強制調査:悪質で大型脱税の犯罪調査(査察部というCIAのようなチーム)
② 任意調査:定期点検の調査(交番の駐在さんみたいなチーム、まれに特殊部隊きますが)

と分かれます。映画のマルサの女が①で、普通の税務調査は定期点検の②です。
①を経験したことがある人は世の中の企業でもほとんどいないはずです。CIA見たことないですよね?

①は犯罪捜査ですからガッツリいきますよね。マルサの女を見れば分かりますね。
マルサの女はエンターテイメントですが、上で紹介した本は実話です。

テレビで脱税を見つけるチームのドラマとかになるのも、もちろん①です。
定期点検の調査はドラマ化できません。ソフト過ぎて。。。

もちろん定期点検でも脱税が見つかることもあるでしょうが、それはしょうがないですよね。
法を犯してもハイリターンを目指す、ハイリスクハイリターンを狙ったわけですから。

国税庁が流しているニュースは悪い事したらガッツリ行きますよ、と目立ちそうなところをメディアで流してるだけなんです。
調査そのものが恐いというのは、CIAみたいなチームが来る強制調査であって、普通に経営している会社に来る任意調査は全然恐くありません。

どういう社長が税務調査を恐いと思っているか?

「普通の会社に定期的に来る税務調査が恐い」と思っている社長がいるとしたら、次のどれかに当てはまるはずです。

1)CIAみたいなチームがくる査察部の強制調査と勘違いしている人

2)税理士や会計事務所などに恐いと言われてそう思っている人

3)脱税している自覚がある人

一度でも普通の税務調査を経験したことがある社長なら、恐くないことは実体験で分かっています。

3)以外は勘違いなので、税理士や会計事務所はちゃんと伝えるべきですよね。

なんで税理士や会計事務所は普通の税務調査が恐くないと言わないのか?

恐くないとちゃんと言っている税理士もいるので、正確には『ほとんどの』税理士や会計事務所が恐くないと言わないのか、ですね。

その答えは、恐いと思ってくれている方が都合がいいからです。
恐いと思ってくれている方が都合がいい理由を一個ずつ見てみます。

恐怖を煽って、恐いと思ってくれると商売になるから

これは強制調査と普通の税務調査をごちゃ混ぜにしながら、普通の税務調査まで恐い存在にすることで、あなたの会社は大丈夫ですか??と需要を喚起することができるからです。どんな業界でもありますね。

もちろん、税理士によって税務調査の結果が変わるというのは、ザラにあります。
でも、それを伝えるのと恐怖を煽るのは別の話です。そもそも法律で税理士しかできないように守られている領域の中でさらに恐怖商法ってどうなんでしょう。。。

インターネットで検索してもらえればわかると思いますが、恐怖を煽るサイトのほとんどは、悪質な脱税の話や査察の話、そもそも調査官が人として理不尽すぎるイレギュラーな税務調査の話ばかりです。本当にはあるでしょうが、普通の話ではありません。

税理士側のリスクヘッジになるから

しいて言うなら、普通の税務調査が恐いのは、自分のミスがあったらどうしようと思う税理士の方かもしれません。税務調査の前後での税理士の変更は多いですからね。

「税務調査では罰金をたくさん払うのが普通なのか・・・」、と税務調査を恐がってくれてる会社の場合、普通の税務調査で多額の罰金が発生しても、これだけで済みましたね、と納得してもらえるかもしれません。
本当は税理士がちゃんとやっていれば、ほとんど払う必要がなかったとしても。。。

例えば、東京国税局が発表している調査一件あたりの平均追徴税額250万円、という中小企業にとって何の関係もない数字を使って、「税務調査での追徴税額は250万円が平均です!」と伝えておけば、相当なリスクヘッジになりますよね。

もちろん税理士も人間ですからミスはありますし、しょうがないとも思います、でもそうだからと言って恐怖を煽ってリスクヘッジするのはフェアじゃありません。

脱税の抑止力になるから

国税が流す強烈な脱税ニュースを信用力のある税理士が刷り込むと、脱税の抑止力にはなるでしょう。
ただその話と、『普通の税務調査』と『強制調査』は全く別物で、普通の税務調査は恐くないと伝えないのは別の話ですよね。
それでもこの理由なら良い方ですね。

 まとめ

何も悪いことをしていない社長でも、普通の税務調査を恐いと思っていることが多いのは、国税が流すニュースのインパクトと、それを正確に伝えない税理士や会計事務所のせいですね。

こんな手抜き勝負してたらいけませんね。

でもミスはありますよ、人間だもの。


あとがき

【1問3答】
◆そば屋とは?
1)そば粉の高騰で仕入れ原価が強烈に上がったので、そば屋の経営は以前より苦しいはず
2)世代トップシェアの高齢層がメインターゲットなので需要は大きい
3)若い世代への需要喚起が弱い のでこの先どうなるか?

ABOUTこの記事をかいた人


34歳、千葉県生まれ。大学卒業後、税理士法人・財務コンサルティング会社などで10年間勤務の後、独立。現在は中小企業の税務顧問などをしながら、創業100年企業の財務戦略を支援したりと税理士業以外での活動フィールドを拡大中。高城剛は天才だと思う。好きな言葉:一寸先は光。
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