税理士はモノを売らないから信用されてきた、と心得る

信頼関係

あなたは自分の『貯金残高、出入金明細、カード利用明細、住所、氏名、連絡先、友人関係、家族構成、職場』などの情報を1人の人にすべて教えたことがありますか??

それを教える人に対する信頼は絶大ですよね。

 

それが税理士なんです。
税理士は信頼関係をベースにした問題解決業です。これが税理士としての本線だと思ってます。サービス業の様なスタンスも必要ですが、サービス業ではありません。

いつもは税理士業界の変化を促すような記事ばかりですが、
今回は税理士業界のことを長い目で考えるなら、大切な部分を見失ってはいけないという、税理士業界向けのメッセージ、警鐘です。

でも、「税理士資格を大切に考えて税理士が今後も稼げるようにしましょう!」、という話ではありません、税理士がいらない仕組み、変わる仕組みを作れるなら、むしろ税理士資格はなくなっていいと思ってます。

コンピューターやAIの進化で税理士が稼げなくなることばかり注目されていますが、そもそも稼げなくなる一番手っ取り早いパターンは、税理士業界全体の信用力が落ちることです。

自分は信用されているから大丈夫、という話ではありません、長い目で見たときの話です。
長期的な話になるんで、いまいちイメージがつかないかもしれませんが。

これは士業と言われている資格に共通する話です。

税理士は信用なしには成立しない

税理士は信用力の高い資格です。

会社の中身を全て教えてもらえるんです。
まだ知り合って間もない社長から。

税理士業界に長くいると、「そんなの当たり前でしょ」と思いがちですが、こんなことは普通ありえないんです。一般家庭で考えたら、貯金残高、出入金明細、カード利用明細、住所、氏名、連絡先、友人関係、家族構成、などのすべてを他人に見せるのと同じなんです。

そんな情報は、どれだけ信用した人に渡しますか?
会社は社会の公器だから当たり前でしょ、という考え方もありますが。

それくらい信用されている資格なんです。

でも、税理士は会社の情報をすべて教えてもらわないと、会社の中身を正確に把握できないので、正しい問題解決もできないですし、税務上の問題なども残ります。

というように税理士は信用力が高い資格なんですが、逆に言うと信用力がなければ成立しないんです。
士業は信用第一なんです。士業でやり抜くなら。

税理士はなぜ信用されているのか?

税理士の信用力が何で高いのか考えたことありますか??
誰からも教わったわけでもないのに、なぜか税理士は真面目だと思われていませんか?

なぜでしょう?

『法律で独占業務として保護されるくらい難しい資格だから、無意識に信用されている』

それも一理あるでしょうが、もう1つ大きな理由があります。

 

地味だったからです。

売るモノがないからです。一部の例外を除きモノを売らなかったからです。

だから警戒する必要がないんです。それで信用されてきたんです。
これは逆の立場から考えればわかりますね。

税理士がモノを売ると問題なのか?

モノを売って稼ぐのは自由です。何も問題はありません。

ただし、税理士が紹介する保険が売れるのも、不動産が売れるのも、投資信託が売れるのも、
その人がすごいから、だけではありません。税理士資格という看板の信用力がすごいからです。

初めて会う社長に何の疑いもなく話を聞いてもらえるのは、その人がすごいから、だけではありません、税理士資格という看板の信用力がすごいからです。

税理士資格の看板を使えば、普通より楽にモノを売ることができます。その信用力を使った商売もできますでも税理士資格の看板を使って稼いでいる、という気持ちは忘れてはいけないと思います。

『モノを売らなかったゆえに作り上げられた税理士資格の信用力』、という看板を利用してモノを売って稼いでいる、という自覚がないと錯覚します、自分がすごいから稼げていると

そうなると、そっから先は暴走します。牽制の効かない人ほど。

モノを売って稼ぐのは自由です、何も問題はありません。
でも何事にも適正範囲がありますよね。

モノを売る税理士が増えるとどうなるか?

税理士資格の本線、『専門性を持った問題解決』で稼げる人が仮に減っていった場合、モノを売る税理士は増えていくでしょう。それにともない税理士への警戒心が広がるでしょう。

そうなると、世代が進むにつれて税理士資格の信用力がどんどん失われていきます。一度失った信用を取り戻すのは大変です。

専門性を持っていようが信用がなければ使いどころもありません、信用のない士業はただの人です。暴走するモノ売りが増えたら『ただの人』が増えるでしょう。

話はそれますが、『パナマ文書』のパナマの法律事務所の信用はガタ落ちでしょうね。

今後はどんな売りモノがでてくるのか

これは前向きな話ですが、今後は、中小企業に対する低価格ITインフラの導入やあっせんを、税理士・会計事務所が担うでしょう。まずはバックオフィス領域から。

それがうまく機能していけば、最終的には、ITインフラ・データベースで企業間を繋げられますし、伸びる企業も増えるでしょう。

企業を横で繋げられるのは、信用のある税理士・会計事務所が一番適していると思っています。
横で繋がれば、効率的なM&A、マッチング、オープンイノベーションも可能です。
そうすれば日本の底上げにも繋がると思ってます。

クラウド会計ソフトのあっせんは、実はITインフラ構築を税理士・会計事務所が手伝っている、という見方もあるんです。以前の記事で紹介した、マネーフォワードのプレスリリースを見ればわかりますね。

また、「クラウド会計ソフト導入に伴う、経営コックピットシステム、これで経営に必要な情報がすべてリアルタイムで見えます!」というような商品で運用に耐えるモノもすぐに市場に出てくるでしょう。

でもその流れに合わせて、中小企業にはハイスペックすぎる高単価の商品や中小企業では機能しない商品も市場に出てくると思います。

最後に

最後に、超富裕層の資産家向けに税務コンサルティングをしている税理士が、資産家に向けて言っていた言葉を紹介します。襟を正すには良い言葉です。

税理士のプレゼン色が強いせいで他の業界を否定する形になっているので、その部分を割引いてみてください。それでも、一理あると思います。

「銀行はお金を貸したいから、あなたのそばにいます。
不動産会社は不動産を売りたいから、あなたのそばにいます。
保険会社は保険を売りたいから、あなたのそばにいます。
証券会社は投資信託を売りたいから、あなたのそばにいます」

「みんな何かモノを売りたいんです、でも税理士には売るモノはありません」

「数年で担当者が変わってしまう、何てことも多々あるでしょう、でも税理士には期間なんてありません、ずっと一緒です、相続まで一緒です」

「だから税理士はあなたに適当なことは言えません」

「税理士には売るモノがありません」

「税理士はあなたを守りたいから、あなたのそばにいます」

どうでしょう?

かなりクサイですね(笑)

他業界を否定するつもりはありませんが、たまにはこんな言葉を全力で言ってみるのも悪くないな、と久々に襟を正そうと思ったので、真面目なテイストで書いてみました。

ABOUTこの記事をかいた人


34歳、千葉県生まれ。大学卒業後、税理士法人・財務コンサルティング会社などで10年間勤務の後、独立。現在は中小企業の税務顧問などをしながら、創業100年企業の財務戦略を支援したりと税理士業以外での活動フィールドを拡大中。高城剛は天才だと思う。好きな言葉:一寸先は光。
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