税理士は儲からない? 資格業界のそもそも

  • 税理士業界は安売り競争で儲からない。
  • 国税OBや高齢の税理士が高単価のお客さんを握っていて、その既得権益を離さないから儲からない。
  • 税理士の平均年収はどんどん下がっている。
  • 取引がすべて電子化されたら税理士はいらなくなる。

他にもいろいろ言われて久しい税理士、中小会計事務所業界ですが、
税理士に限らず、『あの資格はこれから儲かる、儲からない』などの
この手の話に何かひっかかる人はたくさんいると思います。

資格業界の参入障壁

そもそも資格業界は城壁業界

日本に国家資格はたくさんありますが、単なる知識系の資格で国が何も援護してくれない資格と、
国が法律で守ってくれる資格があります。

城壁業界とは?

『城壁業界』とは勝手に私が付けた名前ですが、よく聞く言葉で言うならば、
他業界からの参入障壁が高い業界、です。
『無資格ではできない仕事』を業とする世界ですから、城か!ってくらい壁が高い。

一般業界の参入障壁とは完全に違うのが、国が作った壁だということです。最強ですね。
国が作った法律によって、無資格者の侵入を完全に防いでいます

城壁に守れらたフィールドの価値が高ければ高いほど、普通より稼ぎやすいということです。
城壁業界とは、国の城壁で守ってもらえる資格、の業界、です。

城壁が高いと変化が遅れる

これは当たり前の話ですが、壁の中の『居心地の良さ』=『稼ぎやすさ』が良ければ良いほど、外の世界を意識しないため、一般業界から離れていき、普通とは全く違う世界を形成します。

なので、城壁業界ごとの慣習、ルールの異常さは、その業界の稼ぎやすさとおおよそ比例するような気がします。

皆さんがそういった資格に触れて、『なんで?』と思う回数や、その驚きの度合いが大きい場合、
その資格は稼ぎやすい城壁資格です。もしくは少し前まで稼ぎやすかった資格です。

税理士が稼ぎにくくなったのは城壁が崩れたからではない

税理士業界でいう場合、国が作った資格者を守る壁は今も変わらず健在です。
さらに領収書の電子保存なども進んできているので、納税者の利便性だけでなく、税理士業界にとっても雑務が減るので、日本全体で見たら、望ましい方向に進んでいます。

変化しないまま、価値提供ポイントを間違っていただけ

税理士資格の独占業務にあるのは、手続き代行・作業系の独占フィールドが多く、それだけでは付加価値が生まれにくく差別化しにくんです。
なので、冒頭に書いた安売り競争に巻き込まれるのは、手続き・作業系の業務をメインとしている場合に起きやすいんです。

城壁の中には、常にものすごい付加価値がある、というのが一般的な認識だったのですが、
インターネット普及に伴う情報の平準化により、そうでない税理士が多いことが知られてしまいました。
税務調査が本当は恐くない、ということも少しずつバレてきています。

しかも城壁が高すぎてほとんど変化していなかったので、踏んだり蹴ったりです。
もちろん一部の特殊領域を扱う税理士は、ものすごい付加価値を持っていますが。

つまり、freeeなどの半自動化会計ソフトの登場や、コンピューターの進化、今後のAIの進化に伴い斜陽産業化が決定したと思っている人が業界内外問わずほとんどですが、実はそれだけではなくて税理士業界は一般的には、

・そもそも壁の中で変化してこなかったので付加価値の提供力が弱かった(横並び)
・付加価値の生まれにくい手続き、作業系のエリアで、資格の信頼性を利用して一般業界より楽に稼げていた
・逆に言うと、相談業務などの付加価値エリアでのパフォーマンスが弱かった

という内側の問題があったんです。そもそもなるべくしてなったんです。
ということは逆に考えると、このまま業界全体が外部要因でズルズル落ちていくとも限らないんです。

完成した業界が外部要因で斜陽産業になる場合は相当厳しいですが、今回の場合は全然完成してない業界の話ですから。どれだけ多くの税理士、会計事務所が本気で価値(期待値)提供に動くかですね。

なので今のところ斜陽業界なのは間違いないんですが、今後どうなるかも含めて色んな意味で注目業界なのも間違いないです。

もちろん内側の問題に早くから気付いていた人もいますからね、気づいて動いていた人は少ないですが。こういった人たちは斜陽業界と言われようがどうなろうが、関係なく稼いでいきますよね。どこの業界でも同じ話です。

実は普通の話だった

冒頭の話に戻して、

  • 税理士業界は安売り競争で儲からない。
  • 国税OBや高齢の税理士が高単価のお客さんを握っていて、その既得権益を離さないから儲からない。
  • 取引がすべて電子化されたら税理士はいらなくなる。

城壁業界に長くいると、守られ過ぎてきたせいで、『儲からなくなる、いらなくなる』といった外の風に当たると異常に反応します。
一般業界の人から見たら、いたって普通の話だとしても
そういう環境の中で、変化しながら生き残っていくのが普通だとしても。

AIが進化したら稼げなくなるんだとしたら、その程度だった、ということなんです。

外の風が入ってきたとはいえ、資格業界の稼ぎやすさは、一般業界に比べるとまだまだ楽です。

企業努力と儲けのバランス (一般業界vs資格業界)

企業努力と儲けのバランス (一般業界vs資格業界)

感覚ではこんな感じですよ。

まとめ

税理士業界にも外の風が入ってきて稼ぎにくくなってきたと言われているが、稼ぐことだけを考えればいいなら、まだまだ圧倒的に恵まれている資格であることは間違いないです。

ABOUTこの記事をかいた人


34歳、千葉県生まれ。大学卒業後、税理士法人・財務コンサルティング会社などで10年間勤務の後、独立。現在は中小企業の税務顧問などをしながら、創業100年企業の財務戦略を支援したりと税理士業以外での活動フィールドを拡大中。高城剛は天才だと思う。好きな言葉:一寸先は光。
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