『良い税理士』は人それぞれ、税理士に定型業務だけを求める場合の選び方

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税理士と契約するなら、いい税理士に頼むに越したことはないです。

ただ、ここで重要なのは、『良い』税理士が誰から見ても『良い』とは限らないんです。

支持率100%の総理大臣なんていないですよね?
支持率高いからって自分も支持するとは限らないですよね?

支持率100%の税理士はいませんから、自分にとって、自社にとって必要な税理士を探しましょう。

探すべき税理士の種類は大きく分けて2パターンあります。

1)定型業務だけやってくれる税理士を求める場合=価格優先
数字を作る、試算表、決算書を作る、税務申告をする、税務相談、節税相談といった最低限の定型業務だけを税理士に期待している場合。
2)パートナーとしての税理士(CFO兼経営参謀)を求める場合=価値優先
上の1)に加えて、資金調達、投資判断、事業計画、今後の会社の方向性、社内で起きた問題など、すべてを相談できるパートナーとしての役割を税理士に期待する場合

自分が、自社がどういう税理士を必要としているのか、ここはすごい重要です。
1)と2)の間、みたいな判断はせずに、もしどちらかを選ぶなら?と考えた方がいいです。

今回は1)の定型業務を求める場合の選び方を書いてみます。
2)のパートナーとしての税理士の選び方は次回で。

税理士に定型業務だけを求めるなら

税理士に対して、節税相談を含む定型業務だけを求めるなら、以下のポイントで探してみてください。

1)価格(年間の合計金額)、自分が納得できるかどうか
2)節税に対する考え方が一致している

※コミュニケーションがとれる、最低限のITスキル、などそれぞれが求める当たり前の話は省略しています。

ちなみに、節税相談は定型業務ですから安心してください。
『節税に対する考え方が一致している』というのは、聞いたことがないと思いますが、この軸で探すといいです。その理由を書いていきます。

節税できる、という言葉に意味はない

税理士を探す場合の注意点としては、『うちなら節税できる』、という言葉には意味がないと思ってください。

正直、M&Aや激しい海外展開、事業承継、大規模な投資など特殊な動きをしない会社でしたら、節税スキルで大きな差はつきません。
もし本当に、門外不出の節税提案で大きな差が付くんだとしたら。。他が真似できない圧倒的な節税スキルだけで差が付くんだとしたら。。。それだけで商売できますよね?

他が真似できない節税提案なんて、『グレーゾーンと錯覚した脱税提案』以外はないんです。
節税というフィールドは、どの税理士にも等しい税法フィールドですから。
そのうえインターネットで情報が平準化してますから。

普通の会社ができる節税は、Googleが全部知っている

特殊な動きをしない普通の法人にできる節税手法は、インターネットで調べたら全部出てきます。
もちろん細かい話はのってない方法もあるとは思いますが、ほとんどの税理士は全部わかってると思います。
だから税理士によって節税が大きく変わることはありません。

節税手法よりも節税をするかどうかの判断ができるかどうか

節税の方法はGoogleが全部教えてくれたとしても、その節税をするかどうか?の判断は今のGoogleは教えてくれません(そのうち教えてくれそうですが)。

普通の会社の節税は税理士なら誰でもできるんです。でもそれをいつやるか?それともやらないのか?
その判断はGoogleにはできませんし、税理士でも人それぞれ違います。
なので、節税に対する姿勢が自分と同じ税理士を選んだ方がいいです。

例えば、私の場合は、こうです。

節税とは?私の考え方

・税金はお金の話の一部分であり、その中で節税とはキャッシュを最大化するための手段にすぎない、だから最優先事項とは限らない。
・一瞬税金が減るだけもの、永遠に減るものとある。
・節税手法によっては、手元資金を圧迫する方法、社内の士気が落ちる方法、とデメリットも多くあるため、会社の状態に合わせた選択が必要。
・成長率が高い会社で、それに見合うリターンが見込めるなら、変な節税はせずに自社に投資した方がよっぽど良い。
・成長を最優先に考えるなら、回り道になるような節税はしない、というのも1つの判断

これが私の節税に対する考え方です。
このスタンスは共感する人もいれば、何言ってんの?という人もいると思います。
でもそれでいいんです。手法ではなく、考え方で選んでください。

逆に言うと、何が何でも節税しましょう、というスタンスの人もいます。
それも1つの考え方だと思うので、否定はしません。とにかく自分と考え方あっているかが重要です。

節税に対する考え方を揃えれば、全体的な考え方も近くなる

節税以外の部分でも考え方が近い税理士を見つけた方がいいんですが、最低限の定型業務だけをできるだけ低価格で頼むなら、節税スタンスだけ揃っていれば十分だと思います。
税理士と節税に対するスタンスが揃っていると話が早いですから。

さらに言うと、税理士は税金に関してはプロです、だから節税というのはまさに自分のフィールドなんです。
極端な言い方をすると、自分そのものなんです。
だから、節税に対する考え方には、税理士の思いが出やすいんです。

結果、節税に対する考え方を合わせにいくと、全体的な考え方も近くなるんです。

まとめ

定型業務だけをやってくれる税理士を求めるなら、節税に対する考え方が同じ人を探すのが良いと思います。価格優先で全部は期待しちゃダメですよ。

直接会えば考え方を聞けますね。あとは、HPで節税へのスタンスがわかる税理士もいますし、ブログに考え方を載せている税理士なら、全体的な考え方もわかりますね。

事業パートナーとしての税理士(CFO兼経営参謀)、の選び方はまた次回です。

 

ABOUTこの記事をかいた人

1982年生まれ、千葉県出身。大学卒業後、外資系税理士法人・財務コンサルティング会社などで10年間勤務の後、独立。現在は中小企業の税務顧問などをしながら、スタートアップのCFO、創業100年企業の財務戦略を支援したりと税理士業以外での活動フィールドを拡大中。好きな言葉:一寸先は光。
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